村上春树-《村上さんのところ》

翻译 | 《村上さんのところ》- 作家的职责

2017年6月3日

「人の心を踏みにじるもの」への発言
对「践踏人心的事情」的发言

質問:

中学2年からの愛読者です。
今は国のために仕事をする職業に就いております。仕事柄、社会のことについてよく考えます。
私は、この世界で日々発生している、許すことができず、やるせなく、人の心を踏みにじるような様々出来事に対する村上さんの姿勢が本当に大好きです。村上さんは、そうした出来事対して、静かに、でも力強く、村上さんご自身の個人的な問題であるかのように、怒りは、決して不快なものではなく、優しい哀しみであふれています。私自身は感受性の強いタイプではなく、むしろ他人の痛みに冷淡な方なのですが、村上さんの怒りは、遠い世界の出来事であっても、私自身の心に痛く響きます。このような村上さんのお仕事を尊敬しており、そのことを強くお伝えしたくて、筆をとらせていただきました。これからも村上さんの著書を楽しみにしております。

我是从中学二年级开始喜欢村上先生的读者。

我对村上先生面对这个世界上每天发生的、无法宽恕的、无法宣泄的、践踏人心这样的各种事情的态度真的非常喜欢。村上先生面对这种事情,平静地,但是强有力地,就像村上先生自身的个人问题一样,愤怒,绝不是不愉快的,反而充满温柔的悲伤。我自己不是感受性强烈的类型,不如说是对他人的痛楚冷淡的人,但是村上先生的愤怒,即便是在遥远的世界发生的事情,也会给予我自己的内心沉痛的回响。我尊敬这样的村上先生的工作,因为很强烈地想表达这件事,所以执笔写信。从今往后还会期待村上先生的作品。

回答:

励ましのメールをありがとうございます。僕は実際に何か具体的な行動をとれるわけではないので、ただこうして自分の意見を文章にして述べるしかにあわけですが、あなたの言う「人の心を踏みにじるような様々な出来事」について何かしらを発言していくというのは、作家(表現者)としてのひとつの責務だとうと考えています。

小説家にとっていちばん大事なのは一人ひとりの人の心です。もしそれを踏みにじるもの、踏みにじろうとするものがいれば、それを防ごうとするのはほとんど本能的な行為です。それを忘れては小説なんて書けないだろう、と考えています。でも(繰り返すようですが)現実的にはほとんど何もできないのですが。

谢谢你的鼓励邮件。因为我并不是采取什么具体的行动,只是就这样以文章的形式阐述自己的意见,你说的关于「践踏人心这样的各种事情」什么的发言,我认为那是作为作家(表现者)的一种职责。

对小说家而言最重要的就是每个人的内心。如果有践踏人心,想要践踏人心的事情,那么防止它就完全是本能的行为。我认为,如果忘记这个就写不了小说。但是(虽然重复又重复)现实来看基本上什么也做不了。